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落ち穂拾い的な 覚えていない3

  「ほら! 感じて喘いでるだろ⁉ 邪魔すんな!」  怒鳴り返されて、その人……ほっそりとした幸の薄そうな彼は怯むんだとばかり思っていた。  けれど次の瞬間、ごっ と鈍い音が響いて…… 「うわ 思ったより生々しい音がするやん。てか……弱ぁ叩きすぎたんか?」  自分が行ったことに対して自分が一番驚いているような声だ。 「バリンて割れる思とったのに」 「  ぅ  」  背中から呻き声が漏れて……自分をきつく拘束していた手から力が抜けていく。 「 ────みなわ、何をやっている?」  ビール瓶を持って狼狽えている彼を呼ぶ声が更に遠くから響く。  低い声は悠然としていて、犯されているΩがいることも殴られてふらついている男がいることも、大勢の男達がざわめき出したことも意に介していないようだった。 「あ、大神さ  ごめん、ちょっと用事できてん。ちょっと待っててもろたら   」 「……」  明らかにカタギではない視線が男達をねめつけ、何人かはそれで逃げていき、残りは立ちすくんだ。 「ビール瓶は頭蓋骨より丈夫だと覚えておくといい」 「そうなん?」  大神はみなわの手からビール瓶を受け取ると、やはりゆったりとした動作で頭を押さえてへたり込んでいる男の傍らまで行き、一気に振りかぶる。  目の前で行われる暴力に悲鳴を上げる前に、ぼこん と鈍い音が響いて……自分を犯していた男が下半身をむき出したまま吹き飛ぶ。 「ほら、壊れんだろう?」  この男は何を……と怯える自分の目の前で、ビール瓶はガシャンと握りつぶされて放り出される。  手の中の瓶の欠片をはたき落し、大神はみなわに向き直った。 「気は済んだか」 「気が済んだんは大神さんやん」  みなわはちょっと不服そうに言うと着ていたスプリングコートを脱ぎながら自分の方へきて、ゆっくりと肩にそれをかけてくれる。  薄地のコートなのに、どうしてだか堪らなく温かいと感じてほっとしてしまう。そうすると急に体中から痛みが声を上げて……  擦り傷だらけの皮膚もそうだったけれど、なにより初めて他人を受け入れたソコが避けて血が溢れて……流れた血が糊のように皮膚同士をくっつけるから、怖くて立ち上がることができなかった。  震え出す体と、今だに現実味がない出来事に混乱して呆然としていると、みなわがハンカチで丁寧に汚れを拭き取り始める。 「怖かったなぁ、もう大丈夫やで、変な奴らは退治されたからなぁ」  そう言うみなわの後ろで、どこから出て来たのか黒服の男達が襲い掛かってきた男どもを捕まえていく。  何が起こったのか、何が行われているのか……泣き叫んで引きずられていく男達を見送っていると、再び声がかけられる。

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