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雪虫5 68

 雪虫の大胆な行動にわたわたしていると、かぷ と首にキス……というより噛みつかれる。 「うぇっあっえっぇっぃ、おっ」 「ここはね、雪虫のだよってことなの」  わざとなのかそうでないのか、あまりにも無邪気過ぎてはっきりとしなかったけれど、雪虫の噛んだところは番った時に噛まれた箇所と一緒だ。  首筋は敏感なところだったけど、それ以上に噛まれた痕をもう一度甘噛みされて……  ざわざわっていうかぞわぞわっていうかぐつぐつみたいな? 体中が沸き立つような感覚がして、思わず前かがみになった。 「しずる?」  雪虫からしたら、突然伏せて何をしているんだって思うのはわかる、わかるけれどもどうにもできないものはできない。  一瞬で反応した熱の行き場が見つからなくて、情けないことに股間を押さえて小さく呻いた。 「しずる? ……いやだった? ごめんね」  うずくまったオレを気遣って雪虫が背中を撫でてて、こてんと頼りない体重をこちらにかけてくるから余計に体を起こせなくなる。 「いや、全然っ全然っ!」 「ぜんぜん?」 「大好きっ」 「雪虫もすきー」  間髪入れずに返された言葉にますますっもうっどうしたらいいのかっ!  雪虫の発情期じゃないから最後まですることは無理だとしても、その前くらいまでならいちゃいちゃしてもいいんじゃないかって気持ちがむくりと起き上がる。  体調の関係もあるから、セックスは発情期の時だけ、いちゃいちゃも許可が出た時だけって決められてはいるけれど……  目の前に吊るされた大好物に煽られ続けて、まだまだそういう方面に全力疾走気味なオレとしては限界だった。  せめてこの熱だけでも何とかしたくて、そっと雪虫を見る。  少し朱が差した頬と吸い込まれそうな冬の空の瞳、それから……少し伸びると透き通るような色味になる淡い色の髪。まるで人形のようなバランスのこじんまりとした顔は可愛さもあるけれど、綺麗とも思う。  そんな神秘的な外見の雪虫は新雪でできた雪原のような、触れちゃいけないものに感じる。    まぁ体は勝手に暴走するんだけど。 「っ  、その、ちょっとだけ   触っていい?」    熱がぐるぐると下腹部に集まって、どうにも治まらない。  目の前にいる愛おしい番に胸は苦しくなるし理性は汚すなっていってるし、でも本能は雪虫を襲いたいって思うし、もうわけがわからない状態だった。  鼻血が出ててティッシュを詰め込んでいるからフェロモンがわからない、だからまだ堪えてられるけれど……これにフェロモンまで加わったら…… 「  っ」  ほんのわずかでも雪虫の匂いを感じ取れたら……

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