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モザイク仕立ての果実 21

「でも巳波ちゃんに何かしたわけじゃなかったでしょ? カメラで確認した通り。もし心配なら見守りカメラでずっと撮っておいてもいいし」 「でも……」 「信じられない? 食事はオレが作るよ? 代わりに家事をして欲しいとは言わないし、巳波ちゃんは仕事と部屋探しに集中したらいいと思うし」 「……犬、連れて帰ってこない?」 「ココアとは外で会うから、安心して」  喜多の言葉はきっと下心まみれなんだろうなってわかっていたんだけど、やっぱり野宿と至れり尽くせりの生活を考えちゃうと、天秤はそっちに傾いちゃうわけで……    ソファーの上で寝転び、足をピコピコさせながらお菓子を摘まんでいると玄関の方からガチャンと音がする。  さすがに寝ながらの出迎えは失礼かなって思って、もそもそと体を起こして「おかえり」って言う。 「わぁ! 巳波ちゃんがおかえりって言ってくれるの嬉しい!」  にこにこーっと笑う喜多は、ここ数日こればっかり言っている。 「ただいま! 今日はね、ささみでいいのがあったからそれを買ってきたよ。バンバンジー作ろうか!」 「ワカメスープもつける?」 「うん」  そう言って喜多は会社の鞄をリビングに置くとその足てキッチンに戻ってお湯を沸かし始める。 「ご飯は、炊いておいたから」 「嬉しい! すごく助かるよ! デザートはアップルパイ焼くからね」 「アップルパイは嫌」 「あ、じゃあ……リンゴのコンポートにアイス添えようか?」  むむむ と唇を突き出して、それならまぁいいぁと思ってこくりと頷く。  僕と喜多の同居は、あの日不動産屋から帰ってきてからずっと続いている。  おさんどんは喜多がしてくれるし、冷暖房つけ放題だし、お風呂も長風呂していいよって言われてて……寝床も、喜多が寝室の方を使ってっていうから遠慮なく使わせてもらってる。  非常に、居心地がいい。  ちゃんと「家主がベッドで寝るべきだ」って言ったんだけど、僕にゆっくり休んで欲しいからって喜多はリビングのソファーベッドで丸まって寝ているのが、ちょっと罪悪感があって座りが悪いくらいで、それ以外は非常に非常に快適だ。  あ、いや、一つだけ不愉快なことがあるな。  毎朝目覚めた時、どうしてだか体中がじんじんとしていて鳥肌がびっしりだったりする。  それだけじゃなくて乳首とかいろんな敏感な部分が引くつくように立ち上がっていて、触れたら気持ちいいのにって思わせてくる。  完勃ちした股間とか、愛液が垂れ流されちゃっているお尻とか、そこんところがすごく困るし、訳も分からず感じてしまっているって言う不思議現象に悩まされてる。

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