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モザイク仕立ての果実 47

 腕の中で感じる喜多のフェロモンの甘さに目が眩む。  縋り付いたら思っていたよりもがっしりとした筋肉の感触が返ってきて、どうしてだか嬉しくて唇の端が引き上がる。 「ぁ、ふ ……んっ」 「み 巳波ちゃ 離れて  はな  」  離れて ってうわ言のように呟く割に、喜多の手は僕の腰をギュッと掴んで離さない。  掌から伝わる熱がじんわりと腹を温めていくのが嬉しいし幸せで……僕は伸び上がって喜多にキスをした。  もつれるようにして倒れ込んだベッドの上で、何もしてないのに僕の体は勝手に甘イキしてびくびくと跳ねる。  喜多の息がかかっただけで甲高い悲鳴が上がってしまって、こんなことになるのはありえないって思った。 「ゃあっやっ! なんで、なんでこんな、こんな  」 「俺と巳波ちゃんの相性がいいからだよ、だから、おかしくないよ」  僕のシルクのパジャマを引き剥がしながら宥めるように繰り返す。  ピィって音を立てながら引っ張られたパジャマの中から出てきた乳首は、もうこれ以上硬くならないんじゃないかってくらいツンと尖って赤くなっている。 「そん そんな、で、こんな、なるの?」  今まで発情期を過ごしてきたけれど、こんなふうになったのは初めてだ。  どこもかしこも限界まで敏感になって、自分の体じゃないように思う。 「き、喜多さん 何か、僕に、した?」  何か薬を盛るとかされないと、こんなに感じるのはおかしい! と、思う んだけど…… 「……何? なに…………キス、したよ? 痛くなかった?」  さっき僕が食らいついたせいで、喜多の唇の端は赤く腫れている。   「ない ……でも、よくわかんない  」  喜多の手が忙しなくズボンにかかって引っ張る。 「キス は、初めて」  一気に足からズボンが引き抜かれるのと、喜多の驚いた声は同時だった。  真っ赤な顔でふぅふぅ言いながら僕の顔を覗き込んで……嘘かどうか確認しているようだ。  逆にどうして初めてじゃないと思ったのか襟首を掴んで問い詰めたかったけれど、熱がわだかまって浮腫んだようになった体は力が入らずに何もできない。 「は、初めて?」  ぶるぶると震える手がそっと胸に置かれて、ゆっくりと撫でるように降りていく。 「あっあっ ぁん きもちぃ……」 「初めて……」 「ンっ……あいしょう、いいの、 ス ゴぃ……」 「初めて、なんだ……」  お互いの言葉は一歩通行で全然噛み合っていなかった。でもそんなことを気にかける余裕もないままに、生まれたままの姿に向かれて組み敷かれる。  部屋の空気が肌を舐めるのも、喜多の熱い視線が絡んでねっとりと撫で回すもの気持ちい。  ただただ今まで感じたことのない気持ちよさに体を震わせて、体をくねらせるだけだ。 「ま 待ってね  今、ほぐして、 それから  それから  」

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