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モザイク仕立ての果実 48

 発表会前に段取りを確認するかのように喜多はぶつぶつと繰り返し、肌の上をゆっくりと撫でまわし続ける。  確かにそれも気持ちよくて……気持ちいい……んだけど、焼き尽くされるような熱に犯されている僕の身にはそれは毒にしかならなかった。  懸命に立ち上がって先走りを先端に溜めているソコを触ってももらえなければ、ぐずぐずに溶けてひくついているソコにも触ってもらえない。 「ひぃ  ん゛っ、ゃっ ヤっ!」 「ごめ ごめん、でも、   」  どん と腹に衝撃があって、その熱さと急に濃くなったフェロモンに目が回る。  健気に立ち上がった僕の股間なんて笑われてしまいそうな熱い杭が、ゆっくりと腹の下からどこまで入るかを確認するかのようにヘソへ向けて擦り上がって……  濃い赤みをした先端が先走りに濡れてぬらぬらと別生物のように脈打ちながら、腹の窪みにまで達した。 「 ぃ、や……な、ナニ、それ」  つまり、喜多のナニはソコまで入る?  自分のモノとは形の違うソレは血管が浮き出てカリがしっかりくびれていてグロテスクだ。  ぺちりぺちりと腹を叩かれて……頑張っていた僕の股間は萎れそうになる。 「は、入んない  入んないよ……むり、むりぃ  おっき、おっきぃっおっきぃよ!」 「ん、大丈夫だよ、もっとおっきくなるから」  うっとりと言う喜多は僕の手を取って自分のモノを包ませてきて……目眩がするほど濃い匂いにまた後ろから粘ついた液が溢れ出す。 「やだ、やだ……入んない……むり 入んない……いたい ぜったいいたい いたい  」  指なんか比べものにならないソレはもはや凶器だ。  きっと僕を串刺しにして殺そうとしているに違いない。 「ぃたいのや やっ  いたい、やだっ」  体の中の熱はソレを求めているのに、わずかに残った思考力がそんなことをしたら死んでしまうと訴えかける。  擦り付けられる熱の質量に怯えていると、喜多は深く眉間に皺を寄せて体を起こした。  二人の間にできた空間の距離に、喜多の体が離れてしまうのを追いかけて引き留める。 「ゃ や!」    自分を傷つけるソレが怖いけれども離れるのは寂しくてしかたない。  むずがるように汗でぐっしょり濡れた喜多の胸に飛び込むと、押し返されずにそのまま抱きすくめられた。  けれど喜多の意識は自分ではなく他に向いていて、手はベッドのサイドテーブルを漁っている。    それが悲しく感じて……僕はがっしりとした胸板に唇を寄せてちゅうちゅうと吸いつく。   「ぅあっ……あ、煽らないでっ即効性のある痛み止め  ある、から、飲もうか  」  痛み止め?

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