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モザイク仕立ての果実 50
そんなバカなことがあるかって、恐る恐る視線を下げると、喜多の性器で膨らんだ腹の上にある僕のモノが名残りのようにびくびくと白濁の液を落としている。
「そ な、ことないっ! 僕っは、初めて っこんな感じるのっ ちが 僕っ初めて っこんな感じるの、ちが 」
「いっぱい感じてくれて嬉しぃ……これで巳波ちゃんと僕の相性が本当にいいってわかった? もしかしたら、運命だったかもしれないよ? 運命とセックスするから感じすぎちゃってるんだよ」
僕の恋愛遍歴は雪虫ただ一人に尽きて、性経験はない。
だからどれだけ乱れるのかどれだけ感じるのか基準になるものが全くなくて……でも、入れられた途端にイっちゃうのは普通じゃないだろ⁉︎
「でも でもぉっ かりゃだっ 体っへんっ」
まるで小さな子供のように僕はポロポロと泣きじゃくる。
「変じゃないよ 気持ちいいって、言って」
「ぅ ……やだ 」
「気持ちくない?」
「きもちー……でも やだ 」
「じゃあ、もっときもち良くなろうね?」
喜多は決して乱暴に動こうとはしなかった。
噛み締めた歯の間からふぅふぅと苦しげに自重の息を吐きながら、僕の身体中を愛撫してナカが馴染むまでずっと待ってくれている。
αなんだから、発情期のΩの匂いに当てられたら理性を飛ばして襲いかかってくるはずなのに、喜多はキスをして、ベッドに運んで、怖がる僕に痛み止めまで飲ませてくれて。
そして今、僕を困らせないようにゆっくりと動いてくれている。
自分任せに、自分の快楽を優先させず、僕のナカが粘液で満たされて、ぬるぬると動きやすくなるまでじっとして……繰り返し繰り返し、慰めるようにキスを身体中に落としてくれて……
セックスは、上から押さえつけて脅かしながらαがブツを突っ込んで好き勝手に腰を振る行為だと思っていたから、喜多が耳をくすぐったり肩を温めるようにそっと覆ったりすることに、びっくりしてしまう。
ぽたぽたと滝のような汗を流し、顔に険しい表情を浮かべながらそれでも僕を気遣う姿に、胸の端っこの方がとくんってした。
「んっちゅ いやっ、ィイ! あぁっィ、イクっ は、ィクっ!」
「俺 おれもっ! 出 」
「ぃ、いっぱい ちょうだ 」
じゅぷじゅぷと喜多が刺さってる部分が粘ついた音を繰り返し響かせていたけれど、もうそれに耳を塞ぐことはやめた。
その音よりも喜多が動かないように顔を掴んで、貪るようにキスしてくる方の水音が凄く恥ずかしくって、それを聞くたびにアナがキュンとして喜多のアレを締め付けてしまう。
「出る 出すよっ」
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