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落ち穂拾い的な なぜだか相談相手
研究所の門から少し離れた塀の下でしずるはしゃがみ込み、地面に転がる小石を指で弾く。
「 それでさぁ! アルファってやっぱ人間じゃないの⁉︎」
「人間だよ」
「なんであんな繰り返し繰り返しっっっ僕っもう限界っっ」
言いながら巳波は何かを思い出したのか、顔だけじゃなく耳まで真っ赤にして膝に顔を埋めてしまった。
それを見ながら、しずるはなんでこいつのお悩み相談をオレがしないといけないんだ と小さくごちる。
いつものように雪虫に会いに研究所に来て……そこで中に入れずにうろうろする巳波を見つけた。放っておいてもしずる的には何も問題はなかったけれど、巳波が這々の体で逃げ出してきたのがわかるほどボロボロだったから、つい同情心が湧いて声をかけてしまったのだ。
乱れた髪とクマのある目元、身体中にはベッタリと巳波がαと性交渉した匂いがついていて……部屋着のまま素足で飛び出して来たのか、足は何も履いていない状態だった。
普通ならここで、αに監禁されてレイプを繰り返されたところを逃げて来たのかって思うところだけれど、巳波の乱れた髪はツヤツヤしているしクマはあっても肌はプリプリで光を弾いている。
結論として、しずるは痴話喧嘩だと納得した。
しかもその喧嘩の原因は……ヤりすぎって内容なのだから、しずるは自分が立ち入るような話じゃないと肩を落とす。
「えっと 帰って恋人と話し合ったら?」
「恋人⁉︎ 冗談やめてよ!」
つん と言い返して巳波はまたぶつぶつと文句を言い始める。
「あんな人、恋人じゃないよ! ってか、人ですらないよ! 第一、サイズがおかしいんだよ! 僕がオメガだから良かったけど、ただの凶器だし……それにどこからあれだけのせ せっせぇ……を出してくんの⁉︎ 抑制剤飲んでなかったら一発で赤ちゃんできちゃうところだよ⁉︎」
「ちょ、ちょ、ちょ……そう言う話はもっと気心の知れた相手にして 」
Ω達が食堂で集まってかなり際どい話をしているのは知ってはいたけれど、それを自分に求めないで欲しい と、しずるは耳を塞ごうとした。
「あんたは あ、あんなふうに、雪虫にするの? その……逃げようとしたのを掴んで引き戻して 」
「するわけないだろ」
したいけど って言葉は飲み込む。
体の弱い雪虫は、発情期でも二回の挿入が限界だ。けれど幾らでも可能って言われるなら、きっとずっと離さずに絡まり合ったままでいたいだろうなとしずるは思う。
「普通。しないよね、そこまでは」
「まぁ普通は。でも……好きだったらわかんない」
雪虫への気持ちが好きでくくれるかどうかは別として、少しでも離れていたくないって思うから。
「……やっぱ、喜多さんって僕のこと好きなのかな」
「嫌いだったら傍に寄りたくもないだろうし」
「今のあんたみたいに?」
そう言って巳波は会話するにはちょっと遠いしずるをじろりと睨んだ。
END.
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