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落ち穂拾い拾い的な 結局好きが勝つ 2
「お尻が痛くて座れない」
「薬は塗っておいたけど……ごめんね、巳波ちゃんが黙って消えたのが、ショックで……」
そっと身をかがめてお尻にキスすると、むずがるように巳波が逃げていく。
ほんのわずかにできた隙間にひやりと胸の内が冷える。
やっぱりチェストの中にある鎖でベッドに繋いでおくべきなのかもしれないって、チラリと巳波の足を見た。
「あんなに急いで探して……」
巳波はちょっと言葉を探しているようだった。
「喜多さんはそんなに僕のこと気になってるの?」
「へ?」
「喜多さんならすぐに新しいセフレ見つかるのに」
ベッドの上で転がるせいで巳波の服がずり上がり……可愛らしい下半身が丸見えだ。
俺がつけた痕を身体中に残して、体の中には俺のザーメンを溜め込んでおいて、人のベッドの上であられもない姿で寛いでいるっていうのに何を言い出すんだろうか?
「巳波ちゃん? ……俺との関係って……」
巳波が自分を受け入れてくれた段階で、結婚や番になるのは一旦置いておくにしても付き合っているだとばかり思っていた。
いや、同棲しているんだからこのまま番になって籍も入れて、もっともっと離れられない状態になる予定だった。
なのに、セフレなんて簡単に切れるような関係だと言われてしまって……
「セフレ じゃないの? あ、でも……僕がそんな立場望んじゃダメだよね」
普段、躾のなっていない犬のようにあたり構わず喧嘩を売りまくるくらい気が強いのに、自分の立ち位置の話になると途端に気弱になるのはなぜだ?
ココアもちが病院に行く時だけしおらしくなるのと似たようなものなんだろうか?
「俺……巳波ちゃんと、恋人だと思ってたよ?」
そろりと爪先に触れて、嫌がられないのを確認してからそっと痛々しい足を包み込む。
気づけばその爪の上にポトンと雫が落ちた。
「な、な、なんで泣くの⁉︎」
「な、泣くよ……俺、巳波ちゃんが大好きなのに、そんなこと言われたら……」
「だって、喜多さん。僕に好きとか何も言わないんだもん、だから違うんだと 」
言ってない?
そんなことはない!
「俺っ最初から言ってる!」
「言ってないよ! 会社じゃストーカーみたいに付き纏ってただけだし、ここに来てからもそんなこと言ってない! か 体の関係ができてからも、何も言わないし」
「恋人になって欲しいって! 番になりたいって!」
確かに言った記憶がある! けれど……あからさまに好きという言葉を言ったかどうかで聞かれたら、ちょっと自信がなくなってくる。
心の中では散々言っていたし、巳波の体に触れながら毎晩呟いていたし、盗撮映像を見ながら繰り返し叫んでいた記憶はバッチリだ。
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