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第6話

奏と一緒に花火を見た公園に行く勇気はなく、ほとんどの人と同じように立ったまま花火を見た。 あの頃のようにきれいだと素直に思えないのは、あいつのせいだ。 最後の花火が消えた頃、兄貴にスマホを見せられたなんだろうと覗き込み顔を背けた。 いつの間にラインを交換していたのか、奏からのいくつかのメッセージがあった。 『蓮さん、倫の居場所はまだ教えてもらえませんか。』 『夏まつりについて倫が何か言っていませんでしたか?』 『俺も今年も夏まつりに行きます。もし、倫が行っているのなら教えてください。』 『公園にいます。』 俺のことしか話してない。 兄貴もそっけなく知らないとか、さあ?しか返してないのにこりずにずっと送り続けている。 最後のメッセージはつい1時間ほど前にはいったもの。 兄貴が優しく微笑む。 「こんなに無視しといて、急に会ったら迷惑…かな?」 兄貴は違うというだろうと思って聞いた。 俺だけで決めるのは怖いから。 「倫が行ったら絶対喜ぶよ。ほら、はやく行ったげな」

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