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嘘つき
ガチャッ
「へぇ、ここがばいきんまんの部屋かぁ」
きょろきょろすんなバァカ。帰れ。
「本と筋トレグッズと工具しかないの?」
「文句....あっかよ」
できれば喋りたくない。
気を抜くとまたあの声が出る。
さっきは、ドキンちゃんの前だから必死こいて我慢してたけど、今はツライ。
「別にないよ」
そう言って俺様をベッドに座らせる。
「んっ....」
また声が出てしまい、バカにされるかと思ったが、特に気にした様子もなかった。
まあ、何も言われない方がありがたいが、恥ずかしい。
「これ、飲んで」
差し出してきたのはコップに入った水と錠剤。
「嫌だ」
別に熱なんかねぇし、飲む必要ないだろ。
なのに、奴は少し悲しそうな顔をした。
「ホントに熱があるんだよ?」
「っ....」
なんで、そんな悲しそうな顔すんだよ。
騙すのにわざわざそんな顔しなくたっていいだろ。
そう思ったが、いつまでもそんな顔されるのも嫌だったし、もしかしたら本当に熱があるから気遣っているのかもしれない。
あくまで自分の都合のいいように考えて、差し出された錠剤を飲み込んだ。
「これでっ....ん、いいんだろ!」
なにか気恥ずかしさを感じて、横を向きながら言った。
のに、
「うん、偉い偉い」
と言いながら頭をぽんぽんとしてきた。
やっぱり、俺様のことバカにしてやがる!
「子供扱いすんなああぁぁぁぁぁ!?」
中のモノが今までより強く振動を始めた。
なんで....!
ちゃんと、飲んだのに!
「んあぁっ....!はひっ、な...で!」
「なんで、って言いたいのかな?そのうちあげるつもりだったから、今あげただけだよ。でも、このローター最高まであげてもあんまり強い振動しないんだよね。ちなみに、今最高まであがってるんだけど、どう?」
そのうちあげるつもりだったってなんだよ。
最高まであげてもあんまり強い振動しないってなんだよ。
すげぇ、辛いわバァカ!!
「んひっ、あっあぁ....ひぅっ!」
なんだか、さっきより感じやすくなっているような....?
「気持ちよすぎて答えられない?まぁ、しょうがないか。媚薬飲ませたし」
そう言ってニコニコしている。
媚薬ってもしかして、さっきの錠剤のことか?
あんなに悲しそうな顔するから、本当に熱があるって言うから、だから飲んだのに。
あれは全部嘘だったのか?
「はぁっ、うそっ....つきぃ!」
俺様の言葉を聞くと嘲る様に笑って、言った。
「君がいつも言っているだろ?騙される奴が悪い、ってさ」
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