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詰んだ

「完成だ....!」 最後の部品を取り付け、やっとメカが完成した。 これでアイツを倒せる! 「ありがとな、お前ら」 そう言いながら頭を撫でてやると、照れたように笑ってみせた。 やっぱり、こいつらは可愛いと思う。俺様の弟みたいな存在だ。 「じゃあ、行ってくる」 早速メカに乗り込み、アンパンマンを探しに出掛けた。 「いた....!」 パトロールをしているところを丁度見つけた。 周りには誰もいない。 これは、チャンスだ! 「やい、アンパンマン!昨日の借りを返しに来たぞ!」 拡声器でアンパンマンに向かって叫ぶと、気づいた様で、こっちへ降りてきた。 「借りを返しに来たって割には、なんかお礼をして貰える雰囲気じゃないね?」 「そういう借りを返すじゃねぇよ!」 むしろ、昨日のこいつの行動の中にお礼をするようなものはひとつもなかった! 最初からバカにしてきやがって....! 俺様のメカの威力を見せてやる! 「これでも喰らえ!」 ポチッとボタンを押すと、象型のメカの鼻から大量の水が放水された。 ドオォォォォッッッ 広範囲の放水では避けるのが間に合わなかったのか、もろに水をくらうアンパンマン。 ざまあみろ! もう一度ボタンを押して水を止める。 アンパンマンの顔を見てやろうとしたのに、水が干いた後には、アンパンマンの姿はなかった。 どこ行きやがった? ドオォォォォンッッッ 「え、」 放水の音とは異なる破壊音が響きわたる。 後ろを向くと、メカの後ろ半分が失くなっていた。 あまりの事に声が出ない。爆弾でも壊れないように作ったのに、なんで半分もなくなってるんだ。 バキバキバキッッッ 配管がへし折られている。音を聞いてすぐにそう思った。 しばらくすると、1番手前の配管を黄色い手袋が掴むのが見えた。 そして、すぐにへし折られる。 俺様の前に現れたのは、いつの間にか居なくなった、アンパンマンだった。 「やあ、ばいきんまん。この借りを返しに来たよ」 そう言って、笑顔のまま、濡れた手袋で俺様の頬を包み込んだ。 やばい、コイツ、目が据わってる。

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