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第3話

チラッと盗み見るように隣を見ると、煙草を吸う姿が大人っぽくて、だけどどこかアンニュイでついジロジロ見てしまう。 ノスタルジックとも違うが、なんとなく魅力的。 歳は20代。 大学生ではなさそうな見た目だ。 「あ、煙草嫌い? におい移ったらやばいよね」 「別に…平気、です」 「そ? ありがと。 それと、無理して敬語使わなくて良いよ。 年上だからとかそんなのお互いが生まれる時を選んだ訳じゃないし」 偉ぶらない姿に少しだけ肩の力を抜いた。 悪い人ではなさそうだ。 無駄に説教じみたことを言うジジイ、ババア達とも違う。 大学はどこが良いとか、彼女はいるのかとか。 酒が入るとそれは一層酷くなる。 いつの時代の話をしてるんだか。 今は令和だぞ。 「ずっと前に会ったの覚えてないかな」 「え…、そうだったんですか」 「うん。 よちよち歩いた頃に1回。 君か……君の従兄弟。 多分、君。 佳苗さんの子でしょ」 「久遠、です」 「久遠くん? へぇ。 格好良い名前だね。 似合ってる」 「おじ…お兄さんは」 「ははっ。 おじさんか。 別におじさんでも良いけどね」 おじさんはスーッと煙草の煙を吸うと吐き出した。 「睦月。 1月生まれだから」 「睦月さん」 「うん。 さんじゃなくても良いけど。 ま、良いか。 改めてよろしくね。 久遠くん」 握手をした手は男の手だ。

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