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第19話 下野※
さっきまで電話で話をしていた春樹が、血相変えて家に来た。二人の異動が理不尽だと春樹は言う。
懸命になっている春樹を見て、下野はもう自分の気持ちを無視することが出来なくなっていた。
真っ直ぐに向かってくる春樹が好きだ。
好きで好きでたまらない。
最初は同じ年でも考えが幼く、仕事も上手く回せない奴だと思っていた。仕事でペア活動をすることになった時も、面倒くさくて嫌だなと思うほどの相手だった。
だけど、違う。羨ましいくらい真っ直ぐで素直で真面目な奴なんだと気がつく。
裏表がない春樹の性格には、プライベートで会えば会うほど魅かれていくのを感じる。
駆け引きや計算など、春樹には無い。大人になると出てくるズルさや諦めも無い。
春樹のことを、毎日好きになっていく。
この人の前だと、カッコつけたり、大人ぶったり、そんな今までやってきたしょうもないことが、どうでも良くなる。それに、素直に春樹に甘えたくなる時もある。
「春ちゃん、ほら、鼻で息しないと苦しいだろ?やってみな」
「…はぁ、はぁ…んん…、え…?」
もう我慢が出来なかった。何だかんだ理屈を重ねて春樹にキスをしてしまった。
チュッチュッと軽くキスをして様子を見ていたが、我慢できず下唇を軽く噛んだり、舌で唇をこじ開けたりしていた。
そうすると春樹も下野の真似をしてくる。下半身がズクンと疼いてしまう。
「…ヤバっ。取り返しのつかないことしたけど…」と、声に出して言うと、
「こんな気持ちいいのは、取り返しがつかないことなんかじゃない!違うだろ、もう!寛人はっ!」
と、無意識に気持ちがいいと、春樹は言っている。この一言で、スイッチが入ってしまいそうになる。
「取り返しがつかないことだろ?ほら、もうこれでお互いさまだよ」と、もう一度抱きしめながら伝えると「違う!」と春樹はまた頭をグリグリと下野の胸に押し付けてくる。
パンケーキを作ろうと思ったけどもう無理だ。下野は春樹をベッドに連れて行った。
「春ちゃん?少し落ち着けよ。別の角度から考えるのは春ちゃんの得意技だろ?」
「今はそんなこと出来ない…俺が悪かったんだから!」
ベッドに仰向けに寝かせ、両手を握り自由を奪っていても、まだ春樹は興奮していた。
「もう…じゃあ、また取り返しつかないことするよ?いいね?」
ベッドに寝ている春樹に覆いかぶさり、上からまたキスをしていく。いいね?と答えを言わせない聞き方をした自分をまたズルいなと感じる。
「お、お、俺が落ち着かないから、アレするのか?」
アレと春樹は言う。それはいつも二人がしているオナニーのことだ。
「そうだよ。少し気持ちいいことすれば落ち着くだろ?」
無茶苦茶なことを言っているのはわかっているが、二人が近づくきっかけが欲しくて衝動的に口から溢れてしまう。
春樹の服を脱がし、下野は自分のTシャツも乱暴に脱ぎ捨てた。
二人は真っ裸になった。服を全て脱ぎ捨てるのは初めてだった。
チュッチュッと唇と頬、おでこにキスをしていくと春樹が勃起しているのがわかった。
「春ちゃん?今日は春ちゃんがここ、抑えてて。俺は上から動くから。いい?ちょっと足広げるよ?」
春樹を抱きしめて耳元で囁く。腰をグリグリと押し付けると、二人のペニスが合わさり気持ちのいい快感がツキンと走る。トロッと透明な先走りが流れたのがわかる。
仰向けに寝かせた春樹の膝を立て、下野はその間に入った。セックスをする行為そのままだ。違うのは挿入をしていないこと。
春樹に、両手で二人のペニスに掴むようにと伝えると、素直に頷き両手で押さえている。春樹の腰を抱き寄せ、下野は腰を使い春樹の手の中でペニスをゴリゴリと動かしていく。
「や、や、や、はぁ…っんん」
色っぽい声を春樹は上げている。その声を聞くと、ズクンと更に下野のペニスは大きくなる。春樹の手の中で擦っているから、視覚にもいやらしく見えてしまう。
「春ちゃん…」
キスをしながら腰を動かす。好きな人の肌に触れるのはなんて気持ちがいいんだ。ぐちゃぐちゃと二人分の音が聞こえている。
「や、やぁぁ、寛人…う…んっ…」
「春ちゃん…このまま気持ちよくなって」
「はあっ、あうぅっ、はああ、」
「大丈夫?春ちゃん」
興奮して腰を激しく動かし過ぎたかもしれない。春樹の両足を押さえて腰を下から上に激しく押し上げていた。
「だ、大丈夫…だけど…」
「だけど?何?痛いか?」
下野は急に心配になり、腰の動きを止め、春樹を抱きしめて唇に何度もキスをした。
「ち、ち…違う。終わるのが…嫌だ」
「春ちゃんっ!もうっ!」
頬を高揚させ、目を潤ませて、見つめながらそんなことを言われたら、腰を強く押し付けてしまうじゃないか。もう一度下野は腰を上下に激しく打ちつけ始めた。
「春ちゃんが望めば何度でもするから。一回イこう?俺、もう結構、限界だから…」
「…寛人でも限界なんかあるのか?」
「へっ?」
ベッドで下野に上から覆い被されている春樹は、気持ちの良さそうな顔をしながら、下野を下から見上げている。
「春ちゃん。両手はこっちな、俺に捕まってろよ?」
春樹の両手を下野の背中に回すように促した。二人のペニスは下野が掴み、腰を激しく打ちつける。春樹は下野にしがみつき声を上げていた。
「や、や、やあぁぁ、で、でる…気持ち…いい…」
「俺も…くっ、はぁ、やばっ…イキそう」
最後はベッドがギシギシと音を立てていた。下野が腰を上下に激しく打ちつけ、二人は同時に射精した。ビクビクとペニスが動き、流れるように精子が出ていた。
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