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第27話 下野※
関西に出張で来ていた海斗に、春樹がここに泊まってると教えられた日から、あの頃の熱がぶり返しているようだった。
忘れたことはない。
思い出さない日はない。
毎日、春樹のことを考えている。
だけど、あの頃の熱のぶり返しは厄介だった。身体が熱くなり、事あるごとに反応してしまう。
関西に引っ越してきて、事業を始めてから昼夜の時間の感覚もわからないくらいに働いていた。やっと最近、少しずつ会社が成長してきたので、プライベートで時間が取れるようになっている。
プライベートの時間が出来ると、仕事関係や親戚など、周りが騒ぎ出し『結婚は?』とやたら聞いてくるようになった。
家族や親戚とは距離があったはずなのに、仕事が成功すると距離を詰められる感覚があり、縁談の話を持ってくるようになった。
以前、東京で働いている時は、それなりに恋愛をしていた。女に不自由はないというと、嫌な言い方だが、まぁそんなもんだった。女と適当に遊んでいたので真剣ではなかったものの、いつかこの中の誰かと結婚するんだろうなとは考えていた。
だけど今は違う。縁談や恋愛なんかに興味がないのは、春樹がいるせいだ。
春樹の存在があるのに、他の人と付き合うことなどあるわけがない。ましてや縁談なんてもっての外だ。いつのまにか、下野の中で春樹が真剣な存在となっている。
だけど、周りはそんなこと知らない。だから、仕事の延長で勝手にお見合いやデートなどセッティングされてしまう。その度にうんざりするが顔にも出せず、のらりくらりとやり過ごしていた。
春樹以外の誰とも付き合いたくはない。それに、仕事で疲れ切っていたのか、昔は怖いくらいあった性欲も影を潜めていた。
だが、この前春樹がここに泊まっていると海斗から聞いた日以来、熱が出たように身体が熱くてたまらなくなった。
春樹に会いたい。会って話がしたい。会えなかった時間、どうしていたのか、どんな些細なことでもいいから教えて欲しい。
キスがしたい。春樹とキスがしたい。あの頃のように、酒を飲んだら手を握り、夜寝る時は抱きしめ合って、朝起きたらすぐにキスをする。週末はいつも一緒に食事をして昼寝をしていたあの頃の生活をやり直したい。そう最近は毎日考えてしまう。
それに厄介なことに、今まで陰を潜めていた性欲がぶり返している。関西に来てから、こんなことはなかったが、今は身体が熱くてたまらない。
春樹のグレーの短パンが、下野の荷物に紛れ込んで、関西まで運んでいた。
東京では毎週末、春樹は泊まりに来ていた。洗濯も一緒にしていたから、紛れてしまったのだろう。ボックスの奥深くにそれを何年も眠らせていた。
だが最近は、それを引っ張り出して眺めている。
自分よりサイズが小さい春樹の短パンを前に、下野は下半身に熱を集めズキズキとさせている。
春樹と会った最後の夜、裸にさせた春樹の足の間に、自分のペニスを捩じ込んだ。酷いことをしたと思っている。
だけど、あの時、春樹は『気持ちいい』と言っていた。それを思い出して下野はペニスを硬くさせている。
こうなってしまったらどうしようもない。扱いて出すしか方法はない。
何も考えず、ただペニスを扱いて射精出来ればいいのだが、どうしても春樹を思い出し、考えてしまう。
暗闇の中、春樹の喘ぐ声を聞いた。尻から腿にかけてペニスでなぞってみると、ビクンと身体を震わせていた。その春樹の身体に興奮した。
足をキツく閉じさせて、その隙間から下野の大きなペニスを捩じ込み、春樹のペニスの裏筋をゴリゴリと擦り上げていた。その度に、春樹は声を抑えきれず漏らしていた。
その声を思い出して下野はペニスを扱いている。春樹のグレーの短パンにペニスを押し付けて、身体に溜まった熱を吐き出そうとしていた。
あの時、最後は激しく腰を振り、足の間にズルズルとペニスを抜き差しした。腰を引き寄せ、身体を密着させ、下野は最大に勃起したペニスを、春樹のペニスに擦りつける。春樹のイク声を聞き、下野も同時に射精していた。
「…はっ、はっ、くっ…やべっ…」
春樹の短パンの上に大量の精子を吐き出した。
だけど、まだ足りない。
熱が完全に引かせるには、時間がかかりそうである。
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