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第1話・生きた屍。(2)

 目の前に差し出された肢体は今まで目にしたことがないほどの豪華なご馳走だと言わんばかりに、男は貪り食した。  先端から流れる蜜は絶え間なく流れ、男の口内を潤していく。  しかし、男はそれだけでは満足しない。  咥え込んでいる陰茎に鋭い牙を突き立て、いっそう勢いよく吐き出された蜜を嚥下していく。  砂漠の中を飲まず食わずのまま何日も過ごし、ようやく見つけたオアシスから湧き出る泉の水を飲むように……。  ――いや、実際男はそうなのだろう。  欲望を欲する男の目の前には生身の肉体があるのだから。  ――そう。  男は今、欲望に塗れた獰猛な獣と化していた。  今の男の頭には、美しい彼を食すことのみ。それゆえ、男はさらに彼を攻める。  男は仰向けの自分を跨ぐような格好で身体の上に乗せた後、彼の秘められた後孔に骨ばった太い二本の指を滑らせ、引き締まった肉壁をこじ開ける。  ひんやりとした冷たい空気が、広げられた後孔から入ってくるのを感じた彼は息を飲んだ。しかしそれは恐怖からではない。  彼は自分を組み敷く男が快楽を与えてくれることを知っていた。  彼の後孔はすでに自らの蜜で潤っている。男の舌で慣らさずとも容易に二本の指を咥えることができた。それを確認した男は、彼の腰を持ち上げ、魅力的な後孔に自らの熱い楔を突き立てた。  引き締まった後孔が楔を見事に飲み込む。  ほっそりとした肢体は大きく震え、しなやかに弓なりに反れた。 「エイドリアン、エイドリアン!!」  彼は自分を貫く男の名を呼び、エイドリアンはその呼び声に応えるように強く腰を打ち付ける。

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