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第2話・闇の狩人。(4)

 彼もまた、絶対的な強い力を欲していたのだ。――というのも、人間界では暴れまわる悪魔が年々数を増やし、力を増していたからである。人間界から悪魔を淘汰するためには彼らを根絶やしにするしか手段がなかった。けれども神が天界を離れるわけにもいかない。そうなれば天界がもぬけの殻となり、その地を手に入れようと考える侵略者がつけ込む。自らが手を下すまでもなく、けれど着実に人間界の悪魔を葬り去る存在がウラノス神には必要だったのだ。  彼は若き冥界のプリンス、エイドリアンを不死の存在であるヴァンパイアに変化する術を授ける代わりに、人間界に暴れる悪魔を排除する使命を与えた。  だが、たとえ理性を持たない悪魔であったとしても、彼にとっては同胞に変わりはない。神の手先になったとはいえ、仮にも冥界のプリンス自ら手にかけるわけにもいかず、だからこそ彼は妹の情報をこちらへ流す代わりに人間に仇と成す悪魔を葬るという契約を交わした。  力が欲しいウラノス神はすぐにそれを承諾し、エイドリアンは天界神が望んだ動く生きる屍となった。  それからどれほどの月日が流れただろうある日。  神の奴隷と化した彼の前に美しい悪魔がやって来た。  その悪魔こそ、今寝台に横たわり、エイドリアンの所有物となってしまったユーインである。  ユーインはベルセフォネの側近で、生まれ持ってのその美しい容姿と強力な魔力を買われて彼女の元に就いた。

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