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第2話・闇の狩人。(8)
エイドリアンはどこまでも美しい悪魔に釘付けだ。乱れる彼の姿をもっと見たくてたまらない。
空いている手を伸ばし、そっと下腹部へと忍ばせる。彼の陰茎を包み込んだ。
自らを包まれたあたたかく力強い手の感触にユーインの腰は跳ねた。
「エイドリアン、ちがっ!!」
ユーインは首を左右に振り、押し寄せてくる快楽の波から抗った。
エイドリアンの渇望から自分を差し出したのに、しかしこれは自分の方が快楽を覚えさせられている。だからこれは違うとユーインは首を振った。
だがエイドリアンは聞く耳を持たなかった。
亀頭に親指をあてがい、円を描くようになぞってやる。
そうすると、手の中にあるユーイン自身は少しずつ膨らみを増し、エイドリアンの指を潤すように蜜を零しはじめた。
「ユーイン、君は美しい……」
息乱れるユーインの赤い目は潤み、まるでルビーが光り輝いているようだとエイドリアンは思った。
「言わないで……」
自分を賞賛する言葉を聞けば、ユーインはエイドリアンの手の中でさらに膨らませる。
身体を震わせ、エイドリアンの唇と指の動きに翻弄される彼は、悪魔の本能である警戒心を失っていた。
それだけ、エイドリアンの愛撫が上手かった。
彼の愛撫が確実にユーインを快楽へと導く。だからユーインは暗闇の中から現れた訪問者に気づかなかった。エイドリアンのみを感じ、赤い唇から甘い声を放ちながら、彼に翻弄される。
「何の用だアルテミス。覗きの趣味が天界の神にはあるのか?」
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