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第2話・闇の狩人。(9)
エイドリアンの開ききった瞳孔が暗闇の空中に投げかけ、彼女を写し出す。
彼女は天界を統一するウラノス神の直属の部下で、狩猟・純潔の女神、そして月の女神でもある。
金色に輝く波打つ髪とどこまでも見透かすようなアクアブルーの瞳はまさに人間にはない神々しい存在。彼ら神には羞恥というものは存在しない。なぜなら、彼らは常にあらゆる世界を見渡せる存在だからだ。
エイドリアンがユーインをこうして官能に導いていたとしても、彼らはただ目的を達成することしか頭にないのだ。
だからエイドリアンもさして気に止めもせず、美しく乱れるユーインへの愛撫を続けた。
しかし、ユーインは違うだろう。他人に自分のあられもない姿を見られているたのだと知ると羞恥のあまり身体を強ばらせ、自分を責めるに違いない。だからこそ、警戒心を失ったユーインをそのままに、快楽を与え続けた。
「――エイドリアン」
色香を含んだ喘ぎと共に自ら流した蜜はエイドリアンの手の動きに合わせて水音を響かせる。可愛らしいユーインと相反する彼女は表情を変えぬまま、赤い唇を動かした。
「悪魔が出現した。すぐに向かってほしい……」
美しい女神アルテミスはそう言うと、颯爽と闇の中へ消えていった。
彼女から言いつけられた命令のおかげで、エイドリアンは自分が神の手先となってしまった愚か者だということを思い出させてくれた。
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