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第2話・闇の狩人。(10)
なんとも言い難い歯がゆさと憤りを感じ、自分に向けてひとつ舌打ちすると、これで最後だと言わんばかりにユーインを弄る手の力をさらに加え、根元から先端へと素早く指を滑らせた。
「エイドリアン!」
もうすぐ達してしまうとユーインが彼の名を呼べば、それを合図にして彼は陰茎の裏へ爪を立てた。
エイドリアンから与えられた強い刺激がそこから全身へと駆け巡り、痙攣を起こす。
ユーインは最後に大きく仰け反り、勢いよく吐精した。
「美しかったよ、ユーイン」
エイドリアンは寝台にうつ伏せになった彼の額に口づけをひとつ落とすと起き上がる。
自分はアルテミスから下されたの命令をすべからく実行しなければならないのだ。
自分が獰猛な肉食獣と化し、ユーインを喰らう前にエイドリアンは彼から離れた。それからこれ以上化け物として惨めになることのないよう、部屋中のそこらかしこに散らかした衣服を素早く身につけた。
「エイドリアン待って!! どこに行くの?」
背を向け、外出しようとしているエイドリアンを見たユーインは焦った。
「俺にはウラノス神と交わした契約を守る必要がある」
エイドリアンは暗に悪魔退治へ向かうとユーインに告げた。
ユーインはエイドリアンが言った意味が今ひとつ理解できなかった。
それというのもつい先ほど果てたばかりで、頭が真っ白になっていたのだ。
しかも、快楽に溺れていたからいつ悪魔退治の命が下されたのかも判っていない。
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