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第4話・悪魔。(1)
神はただの傍観者だ。
エイドリアンは常々自分たち神はなんと不自由な存在なのだろうかと考えていた。けれど自分たちの存在を古の時代から遡ればそれも頷ける。
――それは初め、一人だった。
彼らは唯一にして無二の存在。ただただ広大な宇宙そのものだった。
当然のことながら、彼らは唯自分自身が神であるから、自分以外の他に自分が誰であるのかを理解できる者はいなかった。
彼らはある日、自分を自分以外の者として客観的に見たくなった。
彼らは自身を知るため、彼ら以外の存在をつくった。
それがアダムとイブのはじまりだとも言われている。
そしてさらにアダムとイブは子供らをつくった。その子供こそが人間である。
神々とは違い、人間の肉体には時間が限られていた。愚かなことに、彼らはあまりにも輪廻転生を繰り返したことで自分が何者であるのかを忘れてしまった。けれど彼らはやはり神である。だから彼らは創造の果てに光の神と闇の神をつくった。それが天界神ウラノスと冥王ハデスである。彼らは対の存在であったがそれぞれの均衡を保つため、世界を分離して調和を図る。
しかしある日、人間はもっとも浅はかな過ちを犯した。
悪魔を創造したのだ。
人間という『神』の力によって――……。
なぜ彼ら人間は自分たちの日常を脅かす悪魔を創造したのか。それは必然だ。表裏一体。
まさにその言葉がふさわしい。
生があれば死があるように、光が存在すれば必ず影が生まれる。
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