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第3話・本心。(4)

 そしてユーインは、彼の誠実さにつけ込んだのだ。  一度ヴァンパイアに抱かれた痕跡は消せないからと、血液が渇望した時は自分を使って欲しいと無理矢理約束させた。  すべてはエイドリアンに抱かれるために。  彼は冥界の王の子。そして自分は王の正妻の側近を辞めた、ただの悪魔にすぎない。どうせこの恋は実らない。ならばせめてエイドリアンの熱に溺れたい。彼に抱き殺されるのも本望だと考えた。  ……それなのに。  彼は今も尚ユーインを気遣い、自分の身体を気にも掛けずに戦地へ向かおうとしている。  エイドリアンは優しすぎる。 「貴方がぼくの血を飲まないというなら、ぼくも行きます」 (そして貴方の刃になる)  ユーインはエイドリアンを守るため、彼の広い背中を追った。

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