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第3話・本心。(3)

 たとえ枯渇したエネルギーを取り戻すための食料として見ているとしても、彼は自分を抱いてくれた。冥界のプリンスとして名を馳せていたあの頃は彼に抱かれるなんて夢のまた夢。天地がひっくり返ったとしても有り得ない出来事だと諦めていたことだった。  もちろん、ユーインは抱かれた経験は一度もないし、恋愛経験すら皆無。初恋も抱かれたのも、エイドリアンが初めてだ。襲われた当初は恐怖を感じたものの、しかし今まで妹のベネット以外、誰にも見向きしなかったエイドリアンに熱い眼差しを送られ、欲してくれているのだと思えば、心は浮き足立つ。  忘れもしないユーインが初めてエイドリアンに抱かれた時のことだ。エイドリアンがヴァンパイアとしてユーインと再会を果たした日。彼は渇望しきっていた。自分を見るなり衣服を引き千切ると獰猛な野獣と化した。後孔は慣らされもしないまま、強引に楔を打ち込まれ、ユーインが意識を失ってもその行為は続けられた。  初めて抱かれた時はとても苦しかったが、それでも彼に求められるのは嬉しい気持ちもあった。だからこそ、彼がたとえ食料として見ていても、自分以外の誰かを組み敷き抱いている姿を見たくはなかった。  心優しいエイドリアンは、ベネットの大切な友人を抱いた事実に苦しんだ。冥界のプリンスなら権力をかざせば良いものを、けれどやはり彼は責任感のある、秩序を重んじる男性なのだ。彼はユーインに対して深い罪を感じていた。

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