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第10話・虚ろ。(1)
この体内で荒れ狂う疼きを吐き出したい。
けれど愛おしいあの人からもたらされたもの以外はいらない。
ユーインは虚ろな世界を漂い、快楽に溺れそうになる身体を必死に押し止めていた。
視界は涙で滲み、何も見えない。
だから今、自分が今どこにいて、どうなっているのかも判らない。
ただあるのは淫らに乱れる惨めな自分がいるだけだ。
新たに頬を伝って流れたこの涙は快楽ではなく、悲しみのものだった。
いったいどのくらいの時間を苦しんでいただろう。熱に浮かされる身体がふいに凍えるような冷たい水を浴びて慌てた。
ユーインは自分がどうなっているのか焦った。
けれど、快楽に溺れすぎた身体は力を失い、逃げるどころか立つことさえもままならなかった。
だから果てないよう歯を食いしばり、必死に耐えた。
それなのに、責めはまだ終わらない。
両胸に乗っているふたつの飾りに湿り気を帯びた何かがなぞった。
またあの長い舌に弄られているのだろうか。
ただでさえラードーンの舌先で弄ばれ続けた飾りは敏感になりすぎている。その上、冷たい水に浸されればさらに強い刺激になった。
「いやだ……」
あのラードーンから与えられた快楽ならいらない。ユーインはなけなしの力を振り絞って拒絶した。
しかし、身体は素直だ。
いくらユーインが拒絶しようとも、受け入れることを覚えた身体は快楽を求め、腰を振った。
いっそこのまま果ててしまいたい。
後孔に鋭い楔を打ち付けてほしい。
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