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第9話・密林の支配者。(13)
孔という孔をすべて塞がれ、威圧感と圧迫感がたまらず、悲鳴を上げるユーインの姿に翻弄されたラードーンは、ほんの一瞬、エイドリアンから注意を削いだ。
その隙をつき、エイドリアンは動いた。
ラードーンが放った瘴気の渦になっている魔力を薙ぎ払い、見事消し去ってみせた。
ラードーンが気がついた時にはもう遅い。
エイドリアンの切っ先が尾の関節部分を斬り、低いうめき声を発して地にひれ伏した。
宙に浮かされていたユーインはそれぞれに伸ばされた舌から解放され、けれど快楽に染まる彼の身体は自由に動くことができない。そのまま大地へと落下する。
エイドリアンは力を失ったユーインを受け止めると、気絶しているラードーンから背を向け、去った。
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