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第6話・くだらない命乞い。(6)

 もしかすると、ウラノス神は薄々母親と密通していた相手が裏で手を引いている者かもしれないことを察知していたのかもしれない。  なんということだろう。  エイドリアンの心は激しい憎悪に見舞われた。  もちろんそんなことを何も知らない悪魔は、そのまま続ける。 「冥界手に入れ、新しい王をつくりあげる。一緒、冥界乗っ取る」  そう言った悪魔の行動は、やはり正反対のものだった。  悪魔は、エイドリアンがほんの少し戦意を消失し、隙が生まれたのを知った。悪魔はにたりと笑みを浮かべ、鋭い鋒を向けた。  それに気がついたのは、後ろからエイドリアンを見守っていたユーインだった。彼は即座に動き、エイドリアンの前に立つ。間もなくして肉を突き刺す鈍い音が周囲に鳴り響いた。  ユーインは深手を負いながらもなんとか懐から短剣を抜いた。  悪魔は驚きの表情を浮かべたまま、ユーインの手によって呆気なく滅ぶ。  エイドリアンが我に返ると、いつの間にか目の前にいたユーインが項垂れるようにして地面に跪いていた。  ユーインが手にしている短剣には悪魔の血液がべったりと付着している。  その彼の腹部には、悪魔から受けた刃が深々と突き刺さっていた。  その傷口からはユーインの血液が大量に流れていき、瞬く間に彼が着ていた衣服を赤く染め上げていく……。

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