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第8話・追跡。(1)
エイドリアンは隣で深い寝息を立てている美しい青年を見つめていた。
時刻は一六時を過ぎている。
少しずつ傾きかけている太陽の光が窓から差し込んでいた。
その光が無防備に横たわる傷ひとつ残っていない美しい裸体を包み隠さず降り注ぐ。
彼を見つめていると、エイドリアン自身にまた熱がこもる。
魅力的な秘部へと欲望という楔で貫きたいという衝動がふたたび生まれていく。
しかし、彼は妹の大切な想い人であり、そして彼も妹を好いていることはたしかだ。
でなければ、いったい誰がエイドリアンの手助けをしようと思うだろう。
彼にとって、所詮自分は『義理の兄』という存在にすぎないのだ。
それにしても――と、エイドリアンはあらためて思う。
ユーインの行動力には常より驚かされる。
いかに愛する妹を助けたいとはいえ、まさかエイドリアンの代わりに悪魔の刃を受けるとまでは想像していなかった。
それだけ妹を想っているのだろうと思えば、胸の奥底で熱い何かがジリジリと蠢くのを感じる。
しかしエイドリアンは胸の奥底で感じたそれが何によるものかを知ってはいけないと本能的に察知した。
これ以上深く考えないよう遮断する。
しなやかな肢体は目の毒だ。彼の素肌を隠すため、ブランケットで覆ってやった。
さて、彼の想い人であるベネットはいったいどこにいるのだろうか。
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