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第9話・密林の支配者。(8)
くつくつと笑うラードーンはいい気味だとエイドリアンを見下ろした。追い詰められたエイドリアンの足場は失っていた。
あれほど生い茂っていた木々たちは紅蓮の炎で焼き尽くされ、その下にある地面はラードーンの覇気でうねり、瘴気の渦と化していた。
その地に降りることはすなわち身体を焼き尽くすことになる。
だが、エイドリアンは怖気づくことはなかった。
「お前の大切な使命はいいのか?」
してやったり顔のラードーンに皮肉たっぷりにそう言った。
その言葉にはっとしたのはラードーンだった。彼はなにせ苛立ちすぎていたおかげで自分の守るべき場所を自ら滅ぼしてしまうという愚かなことをしでかしたのだから。
『おのれ!!』
ラードーンは嘲るのをやめ、ふたたび怒りをあらわにした。
このままエイドリアンを殺してしまうのは簡単だ。
だが、これ以上にもない屈辱を味わった。
ラードーンはここまでしてくれたエイドリアンをただ殺すことはできないと思った。奴にはもっと屈辱的な死を味わってもらおう。
自分よりももっと耐え難い屈辱を……。
ラードーンは危機的状況に陥っていても冷静なエイドリアンを懲らしめる方法が何かないかとそこらじゅうを見渡す。
その時、平地になったそこに、ある人物を見た。
ラードーンはにやりとほくそ笑み、ひとつの頭を足場を失っているユーインに向かわせた。
驚いたのはエイドリアンだ。まさか戦意のないユーインがラードーンの攻撃の的になるとは思わなかったからだ。
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