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第10話・虚ろ。(4)

 ユーインはエイドリアンにすべてを委ねた。それを感じ取ったのか、エイドリアンは熱を孕む鈴口をざらついた舌先で撫でるようにいくらか擦り上げ、飾りを撫でていた手が後孔へと移動した。水を纏った指が肉壁をこじ開ける。  ユーインは体内に彼の刻印を押して欲しいと強く思った。  腰をいっそうくねらせ、弓なりに反らして彼の艶やかな髪に指を差し入れる。  彼が欲しいと誘惑した。  肉壁の中を掘る指は一本から二本に増えて、ユーインが最も弱い箇所を擦り上げていく。 「そこ、はっ!」 「ここを擦られるのが好きだろう?」  エイドリアンを誘うように舞うユーインはいっそう淫らな嬌声を上げる。  それを合図に、エイドリアンは舌先で愛撫するのを止め、ユーインをすっぽりと口に含んだ。  華奢な腰はこれでもかといくらい大きくしなる。覆われた熱に刺激されて、疼きを解放した。同時に二本の指を咥えた後孔がきゅっと引き締まった。  エイドリアンはユーインが吐き出した蜜をひとつも取りこぼすことのないよう口に含み、嚥下する。  蜜を纏ったユーイン自身を丹念に舐め取る作業を続ける。  ユーインは息を乱し、彼の腕の中にぐったりと収まった。  けれどもいったいどうしたことか。  ユーインはエイドリアンを欲した。  身体はまだ疼いている。  まだ欲しい。  まだ足りない。  指ではなく、彼が欲しい。  雄々しい猛りで貫かれたい。  幾度となく太い男根を飲み込んだことがあるユーインの後孔は彼を欲し、一度は果てた筈の肉体がふたたび疼きはじめていた。

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