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第10話・虚ろ。(6)

 どうやら彼の許可を得たらしい。ユーインはたくましい腰を跨いだ。  後孔に彼の猛りを咥えられるよう、ゆっくりと狙いを定めて腰を落としていく……。  しかし、ラードーンに陵辱された身体はもう体力の限界だった。  肉壁を掻き分けてエイドリアンが侵入するのと同時に自らの身体を支える力を失った。ひと息に彼を咥え込んでしまった。  ユーインは嬌声のような悲鳴を上げた。  目の中に火花が散る。  思ってもいなかった強い刺激にユーインの身体はしなった。  エイドリアンも強い締めつけに我慢できず、勢いよくユーインの中に白濁を注ぎ込む。 「深っ、奥が……」  熱い迸りがユーインの体内を浸す。結腸まで届くのではないかというくらい、深い交わりだった。  彼の白濁すべてを受け入れた腹部は若干の膨らみを形にしている。こんなふうにエイドリアンの子供を孕むことができたらどんなにいいだろう。  このまま彼に抱かれ、赤子ができたと言って、エイドリアンの后にしてもらえたら、どんなに嬉しいことだろう。  しかしそれは所詮、叶わない夢。  もし、ユーインが女性であるなら、彼は何があってもけっして抱かなかった。  なぜなら彼は淫らな母親を嫌っている。  ハデスという夫が存在しながら他の男と密通し、裏切った彼女を毛嫌いしていた。  だからエイドリアンは軽はずみな行為で自分の子供を孕ますような、そんな愚かな真似はしない。母親と同じ道を選ぶはずがないのだ。  それに、彼はヴァンパイアにもなった。  こうして抱かれても子供なんて授かることはない。  結局、自分は妹のベネットを助けるまでの付き合いで、どうあがいても捨てられる運命なのだ。

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