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第10話・虚ろ。(7)

 ――いや、捨てられるというのも違う。 だって彼にとって自分はただので、それ以外の何者でもないのだ。  ユーインだけが彼を想っている……。所詮は片想い。  だったらせめて今だけでもエイドリアンを感じていたい。  ユーインは分厚い胸に身を任せ、そっと目を閉じた。

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