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第12話・反発。(2)
心優しい彼が目を覚まし、この荒んだ場面を目の当たりにすれば、おそらくはとても胸を痛めるだろう。今に至っては彼が眠っていてくれてよかったと、ほっと胸を撫で下ろした。
気絶するまで彼を抱いた事もあながち役に立たないわけではなかったと今だけはそう思える。
「おまえはうらぎりものだってパパがいってた!!」
当時あった出来事を何も知らないわずか四歳ほどの少年さえもがそう言って、道に転がっている石のつぶてをエイドリアンに向けて投げつけてくる。
強力な魔力を持つ冥界の王子であるエイドリアンが投げつけられた石を避けることなど造作もない。しかし、エイドリアンはあえて彼らの攻撃を受けた。
これは実の母親に向けて放たれた言葉だ。望んでいてもいなくとも愚かな身内を持った自分が受けるべき罰なのだ。
住人たちはいつ反撃に遭うかと思い、怯えながらも罵っていたようだが、それもエイドリアンが何もしないと理解するとそれをいいことに、少しずつ彼に浴びせる罵声もひどくなる。
やがて最後には硬く尖った石のつぶてが様々なところから投げられるようになった。
けれどエイドリアンもそこまで愚か者ではない。急所になるような石はことごとく避け、青痣が残るくらいにおさめる。
そんなエイドリアンを嘲笑うかのように、ひとつの石のつぶては彼の腕の中にいた体罰などとはほど遠い純粋な心を持つユーイン目掛けて突っ込んできた。
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