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第6話
窓の外に広がるのは異様な空間だった。
オレンジ色のランプの灯りが照らす眼下の場所には異様な興奮を称えた男達が50人程ひしめき合っていて。
目の前の小さなオペラハウス並みの舞台を期待に満ちた眼差しで見つめてた。
「世蓮、大丈夫?」
肩に凭れる世蓮の柔らかそうな髪を撫でながら颯天が聞く。
「大丈夫です。キスしてくれますか?」
落とした視線を颯天に向けて世蓮は小さく呟いた。
優しく微笑んで空いた左手で世蓮の顎を掬うと颯天はその柔らかそうな唇を世蓮の薄い唇にそっと重ねる。
これ以上見てるのは野暮だな?
俺は体感温度が上がった恋人達から視線を窓の外へと戻した。
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