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第9話
商品が届くまでの間、俺たちは興味の無いオークションをただ眺めてた。
ここに集まる人間達ははっきりと立場が決まってる。
“勝ち組”と“負け組”。
勝ち組はお金にものを言わせ欲望の為に無駄遣いをして。
負け組は這い上がれない奈落の底に墜ちていく。
まぁ、世蓮みたいに特別に愛を与えられる事も稀にあるだろうが・・・
そう。
数年前、世蓮はこの場所であのステージの上に立っていた。
今居るあの商品たちと同じように見窄らしい服を着て。
あの日も俺は颯天に連れられてこの部屋でワインを飲んでた。
世蓮がステージに上がった途端、颯天は身を乗り出してステージを見ると。
さっきと同じようにベルを鳴らして落札した。
後で聞いた話。
世蓮は他に狙ってたヤツらも多かったらしくかなりの出費だったらしい。
そこまでして手に入れた“商品”を颯天は溺愛してる。
ペットや使用人とかじゃなく“恋人”として。
出会いはどうであれ俺は颯天が羨ましいと思う。
心から愛しい存在を手に入れたんだから。
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