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第10話
「本日、最後の出品になります。」
進行役の声に場内が息を呑む。
だいたいメインは最後に登場すると颯天が前に言っていた。
そう言えば世蓮もそうだったな・・・
なんて考えてたら会場からどよめきが起きた。
「へぇ・・・あれは高値が付きそうだ。」
颯天の感嘆の声に興味を無くしてたステージに視線を戻す。
「・・・・・・!?・・・・・・」
俺は思わず今まで体を深く沈めてたソファーから背中を離した。
あの日・・・颯天が世蓮を見付けた時と同じように。
「孝惟?」
様子のおかしい俺を呼ぶ颯天の声が聞こえた気がしたけど今はそれどころじゃない。
俺は自分でも笑ってしまうくらい食い入るようにステージに釘付けになってた。
今までたくさんの“綺麗”と賞される物を見てきたつもりで居たけど。
目の前に立つ“商品”は今まで見た事の無いほど美しくて凛としてた。
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