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第12話
軽くノックする音がして重そうな扉が開く。
「李様、近衛様。本日はオークション参加誠にありがとうございます。」
品のいい初老の男性がソファーの所まで来ると深々と頭を下げた。
「落札された商品をお持ちしました。」
そう言って振り返った先にはさっきステージに立ってた2人が居た。
「怖がらなくてもいいよ。こっちにおいで。」
颯天が満面の笑みで囁くと世蓮が欲しいと言った“商品”がもう1人の手を握りゆっくりと歩いて来た。
「俺は颯天。こっちは世蓮と孝惟だよ。名前は?」
少し距離を縮めた相手に優しく名乗る。
「僕は・・・遵(じゅん)。」
世蓮の“ペット”になるであろう“商品”がそう小さく呟いた。
「遵。今日から君は世蓮の友達だよ。仲良くしてやってくれる?」
警戒心剥き出しの瞳に颯天が語りかける。
友達。
その言葉に“商品”・・・遵はびっくりしたように目を丸めた。
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