14 / 130

第13話

今まで颯天の腕に抱かれて凭れてた世蓮が優雅に立ち上がるとびっくりしてる遵に近付く。 「はじめまして、遵。僕は世蓮。仲良くして下さいね?」 状況が飲み込めなくて佇む遵に満面の笑顔で手を差し出す世蓮は綺麗で。 よろしくと言われた遵はさっきまでの警戒心を全て拭い去られて細く白い世蓮の手を握り返した。 「貴方は・・・あちらの孝惟さんの所へ。」 遵の背中に隠れるようにしてた“商品”にも世蓮は微笑む。 少し怯えた瞳がゆっくりと俺を捉えた。 決して愛想がいい方じゃ無いことは十分理解してる。 だけど今はこれまでにないくらい頑張って精一杯心からの微笑みをその怯える瞳に向けた。 「俺は孝惟。君の名前は?」 そう聞くと一瞬視線が外された。 きっと躊躇ってるんだろう。 ここに来た時点で自分が今からどういう扱いをされるかは分かってるだろうから。 その為の“お勉強”もしたはずだし。 気長に相手の返事を待ってると白い肌に映える深藍色の瞳に再度見つめられた。 「・・・・・・・・・ヒロ。」 それだけ呟くと商品・・・ヒロはまた視線を外した。

ともだちにシェアしよう!