15 / 130
第14話
帰りの車の中は行きとは違い賑やかだった。
それは・・・・・・・・・
「凄い長い車だね?僕、初めて見た!」
「広いからって暴れないで下さいよ?」
初対面で世蓮に一気に毒を抜かれた遵は今ではもうすっかりこの場に馴染んでた。
元々がそういう性質を持ってるんだろう。
好奇心旺盛に車の中を見回したり物色したりしてる。
「今日からお前の家は賑やかになるな?」
「世蓮が楽しければそれで良いよ。」
遵の好奇心に文句を言いながらも楽しそうに笑う世蓮を見ながら颯天が微笑む。
昔は『氷の王子』と形容されてた颯天がこんなにも穏やかに微笑むようななったのはたぶん世蓮が来たから。
愛しい存在を手にするとこうも人間変われるんだと改めて実感した。
俺にもそんな世界観まで変えれる相手が現れるだろうか?
賑やかな車内で唯一口を閉ざし俯いたまま俺の隣に座る人物に視線を向ける。
この時はまだ俺は気付いて無かった。
ヒロとの出会いが俺の人生そのものを大きく変えてしまう事になるなんて。
ともだちにシェアしよう!