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第4話

僕を始めて買った客はかなりの年配のお爺ちゃんだった。 大きな大きなお屋敷にたった独りぼっちで暮らしてて 家族も親戚も居ない天涯孤独だって寂しそうに呟いた。 最初の主人はただ僕を側に置いて眺めてるだけ。 手を握ったり肩を抱いたりハグしたりはするけど、それ以上は何もしなかった。 僕が触れようとすると主人は。 「ヒロはそんな事しちゃいけない。私の側で笑っててくれたらそれでいいんだよ。」 そう言って頭を撫でてくれた。 僕は主人に買われて本当に幸せだ。 この幸せは永遠に続くんだと勘違いしてた。 心は捨てた筈なのに幸せを望んでしまってる。 そんな愚かな事さえも気付かずにいた僕に神様は罰を与えた。 “自分の立場を弁えろ”と。 夢のような日々は1年で終わりを告げた。

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