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第5話

「ヒロ・・・すまない・・・っ・・・」 主人はフカフカのベッドの上で力無く微笑んだ。 顔色は悪く息も荒いのに・・・ 「謝るくらいなら・・・元気になって下さい。」 ベッドの側に跪き震える声で訴える僕の頭をいつもみたいに優しく撫でる。 「そうだな・・・でももう・・・迎えが来てるんだ・・・」 頭を撫でてた手が頬に移る。 いつの間にか溢れてた涙を主人はそっと拭った。 「この家は・・・ヒロにあげるよ。財産も・・・ヒロが困らない程度にはあるから・・・弁護士と相談しなさい・・・1人にして・・・すまな・・・」 主人の指先が僕の頬を離れてベッドに落ちる。 また、僕の大切なものが消えて行く。 穏やかな笑みを浮かべたまま眠るように逝ってしまった主人の側に突っ伏して僕はただただ声を殺して泣いた。

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