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第7話
定期的に開かれるオークション当日。
普段は顔も合わせない“商品”達が舞台裏の大部屋に集められる。
ここに居るのはさまざまな年齢・性別の人達で、みんな一様に不安気な顔をしていた。
「これからどうなるんだろう・・・」
部屋の隅の壁に寄り掛かって座ってた僕の隣で膝を抱えてた同じ歳くらいの男が小さく呟いた。
これからどうなる?
そんなの決まってる。
金持ちのスケベなオヤジか香水の臭いオバサンに買われて。
いいように遊ばれて要らなくなったら捨てられる。
ただそれだけ。
喉まで出掛かった言葉を飲み込んで隣の男を見つめた。
僕達に未来なんて無い。
改めて痛感した。
「キミ・・・男?」
いつの間にか隣の人は顔を上げ僕を食い入るように見つめてた。
「男だよ。」
小さく囁けば男はパッと顔を綻ばせた。
「僕、遵。キミは?」
その言葉に僕はビックリした。
この場所は二度目だけど名前を聞かれたのは初めてだったから。
たぶんここに居る僕と同じ境遇の人全員が二度と会わない人達だから
名乗る必要も無いし聞く必要も無い。
なのに・・・・・・・・・
そんな事お構いなしに聞くこの男に僕は興味が沸いた。
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