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第13話
端正な顔立ちの男が遵に微笑みかけて手を握る。
そして優しい眼差しを僕に向けて
「貴方は・・・あちらの孝惟さんの所へ。」
そう告げた。
孝惟様・・・
示された先にはあのマヌケ面の客がぎこちなく笑ってた。
「俺は孝惟。君の名前は?」
少し低めの声が耳に響く。
僕は名前を聞かれて一瞬躊躇った。
名前・・・僕の名前。
「・・・・・・・・・ヒロ。」
視線を逸らしてからもう一度真っ直ぐ主人を見つめて僕は“名前”を呟いた。
僕の名前は“ヒロ”。
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