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第15話
出迎えた執事のあからさまな嫌悪感。
浴びせられる罵声に胸が痛む。
俯く僕に気付いたのか主人が執事に言い返す。
「ヒロは立派な人間だ。物扱いするな。」
と。
その言葉に僕は救われた気がした。
まだ何か言いたそうな執事を無視して僕の手を引いて主人が歩き出す。
チラッと振り返って見た執事は僕を凄い目で睨みつけてた。
螺旋階段を上がって長い廊下を抜けると大きな扉を主人が開ける。
中に入ると鍵が掛けられた。
僕を“家族”と言った事が理解出来なくて聞くと主人は優しく微笑んで手招く。
そして・・・
「ヒロ。俺の家族になってくれる?」
そう囁いた。
抱き締められた所から上がる体温。
念押しされて僕は主人の背中に腕を回して小さく頷いた。
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