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第16話

大きなお風呂に入って主人・孝惟様の背中を流す。 熱気のせいなのか耳や首筋まで真っ赤になってる。 まるで彫刻みたいに均整のとれた逆三角形の体のラインは今まで見てきた男達とは別物で、スポンジじゃなく直に触れてみた。 「ヒ、ヒロ!?」 項から肩、肩甲骨と指をゆっくり這わせると孝惟様の体が跳ねた。 「綺麗・・・」 少し長めの後ろ髪から覗く項に唇で触れる。 男が“その気”になる方法。 今僕に求められる唯一のもの。 それはこの男には不必要な綺麗な顔と白い体だけ。 だから。 僕は僕に出来る事で主人に仕える。 唇を付けたままスポンジを手放すと均整のとれた腹筋に後ろから腕を回して抱き付く。 早く・・・早く・・・ その逞しい体で支配して。 そしたら僕は“役割”を果たせるから。

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