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第4話
もう少し可愛い寝顔を見てたいけど、そろそろ起きないと古狸の頭から湯気が出るだろうから。
「ヒロ、おはよう。ヒロ?」
顔に掛かる髪を退けながら名前を囁く。
擽ったいのか身動くヒロの頬を撫でて額にキスを落とす。
「・・・う・・・んっ・・・」
長い睫毛が揺れてゆっくりと瞼が開く。
「おはよう、ヒロ。」
今にもキスしそうな至近距離で微笑めばヒロの頬がじわりと紅く染まった。
それさえも綺麗で自然と頬が緩む。
お互いの吐息が間近に聞こえて甘い空気が2人を包んだ。
ベッドに横になったまま過ごすひととき。
時間も忘れてずっとこうして過ごせたら・・・
そんな俺のささやかな願いも虚しく、部屋に近付いてくる足音が聞こえて夢から現実に引き戻された。
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