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第6話
「颯天、シアって・・・アイツは遵だろ?」
ベッドから追い出された俺は優雅に部屋に入って来た悪友に聞いた。
「世蓮がね。付けたんだよ、名前。可愛いだろ?」
抱き合うヒロとシア?に失礼だよと窘めるように注意する世蓮を優しく見つめながら颯天が呟いた。
いつも思うけど。
颯天程、他人に対して慈愛に満ちてる人間はいない。
まぁ、正確には世蓮に対しては特になんだろうけど。
「シアがね、ヒロが不安そうだったって昨日から心配であんまり寝てないから連れて来たんだ。」
そんなに信用ないかな?俺って・・・
世蓮とシアの言い合いを微笑みを浮かべて見てるヒロに、まったりした時間を邪魔されたのも忘れて俺の頬も自然に綻ぶ。
ヒロが嬉しいならそれでいい。
「ところで相談なんだけど。」
ベッドを見つめる俺の隣に立つ颯天が呟く。
「何だよ。」
「今日さ、ヒロを家に預かってもいいかな?孝惟が仕事終わるまで。シアがそうしたいって言うから。どう?」
家に置いとくのが少し不安だった俺は、颯天の有り難い申し出を喜んで受けた。
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