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第13話
もう一度肩を軽く揺らすと長い睫が揺れてそっと瞼が開いた。
「孝惟・・・さん?」
「ご飯だよ、ヒロ。」
そっと髪を撫でると気持ち良さそうに微笑んだ。
「おかえりなさい、孝惟さん。」
「ただいま。」
そんなありふれた会話でさえ今は擽ったい。
『おかえりなさい』って言われただけなのに。
体を起こしたヒロを思わず抱き締める。
幸せってきっとこんな小さな事の積み重ねなんだな。
「あ~、お取り込み中悪いけど・・・そろそろご飯にしない?世蓮とシアの機嫌が悪くならないうちに。」
颯天の言葉に体を離して顔を見合わせる。
俺達は微笑み合うとベッドから離れた。
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