54 / 130

第13話

もう一度肩を軽く揺らすと長い睫が揺れてそっと瞼が開いた。 「孝惟・・・さん?」 「ご飯だよ、ヒロ。」 そっと髪を撫でると気持ち良さそうに微笑んだ。 「おかえりなさい、孝惟さん。」 「ただいま。」 そんなありふれた会話でさえ今は擽ったい。 『おかえりなさい』って言われただけなのに。 体を起こしたヒロを思わず抱き締める。 幸せってきっとこんな小さな事の積み重ねなんだな。 「あ~、お取り込み中悪いけど・・・そろそろご飯にしない?世蓮とシアの機嫌が悪くならないうちに。」 颯天の言葉に体を離して顔を見合わせる。 俺達は微笑み合うとベッドから離れた。

ともだちにシェアしよう!