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第15話

「颯天・・・ちょっとシアに甘いんじゃないですか?」 リビングのドアが閉まると同時に世蓮がぼやく。 「そう?俺は世蓮にだけ甘いけどな。」 軽く睨む世蓮を抱き寄せながら颯天が笑う。 「じゃあ何であんな事を?」 俺達を屋敷に引き止めた事を言いたいんだろう。 確かに世蓮にではなく今回はシアに甘いように俺も思うけど・・・ 不思議に思いながら2人の会話の続きを待つ。 「それは・・・ヒロを帰したらシアが悲しむだろ?そしたら世蓮はシアを慰める。そうなったら俺はどうなる?」 なんとなく言いたい事が分かった。 つまり・・・ ヒロが帰って落ち込むシアを世蓮が慰めちゃったら颯天は相手にされなくなる。 だからヒロをここに留めて自分は世蓮を独占したい・・・と。 「ただの我が儘ですか。」 俺と同じ答えに辿り着いただろう世蓮が呆れて言う。 本当、俺の悪友は我が儘だな。 「世蓮絡みなら俺は我が儘にも傲慢にもなるよ。」 平然とそう言ってのけた颯天が腕の中の世蓮の髪に口づける。 やってる事はムチャクチャでも世蓮に対する愛情だけは真剣なんだと改めて実感した。

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