59 / 130
第18話
夜中、無意識に腕の中の温もりを抱き寄せようとしたらそこに居る筈の温もりが無かった。
「ヒ・・・ロ?」
瞼を開いて暗い部屋の中を見渡す。
月明かりが差し込む室内に愛しい人の姿は無かった。
トイレかな?
ゆっくり体を起こしてベッドを降りる。
すぐ隣のバスルームにもトイレにもヒロの姿は無い。
不安になって部屋を出る。
もう明け方もそう遠くない時間なのもあって屋敷中が静まり返っていた。
廊下を歩きヒロの姿を探す。
シアの部屋を覗いてみるけどシアの寝息しか聞こえて来ない。
いったいどこへ行ったんだ?
隈無く探しても見つからなくて途方に暮れた俺は世蓮に相談しようと颯天達の部屋に向かった。
こういう時は世蓮が一番頼りになる。
俺の方が年上なのに・・・
苦笑いしながら辿り着いた颯天達の部屋の前に立った。
ノックをしようと左手を上げた瞬間。
「・・・ぁ・・・んっ・・・ぁん・・・」
甘い吐息混じりの声が聞こえた。
止せばいいのに俺は目の前の扉をそっと押す。
少しだけ開いた隙間から中を覗くと、薄暗い月明かりのベッドに重なる2つの影があった。
颯天の白い背中に絡む世蓮の細く長い腕が赤い痕を刻む。
高く上げられた足は時々痙攣するように小刻みに揺れて、それに煽られるように颯天の腰が淫らに律動を早めた。
ともだちにシェアしよう!