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第5話

颯天に出逢う前、僕は孤独だった。 ごく普通の家庭に育った僕はそれなりに幸せに暮らしてて。 毎日が普通に過ぎて行く事に満足してた。 でも・・・・・・・・・“普通”ってある日突然、普通じゃなくなるんだ。 その日、僕は熱を出して家で寝ていた。 お父さんとお母さん、そして3歳年上の姉さんは少し遠くに住む叔父さんの家にお呼ばれしてたんだ。 「夜には帰るから。大丈夫?1人で。」 心配するお母さんに精一杯の笑顔を向けて見送った。 それが・・・ 家族を見た最後だった。 お父さんの運転する年代物の車はブレーキの跡を残す事なく崖から落ちたらしい。 事故後、遺体の損傷が激しくて結局会えずじまい。 身元の確認は遺留品で済ませた。 この世に1人取り残された僕はまだ幼くてどうする事も出来ないまま。 流れ流れて行き着いた先が『夜来香』だった。

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