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第12話

どのくらいシアにくっ付いてただろう? 「ありがとうございました。」 少し気分の晴れた僕は体を離して『もう大丈夫』の意味を込めて微笑んだ。 「お礼なんて要らないよ。僕はこうする為に世蓮の側に居るんだから。」 一度離れた温もりにもう一度包まれる。 僕を抱き締める為に居る? 意味が分からずに体を離してシアの顔を覗き込むと、満面の笑顔を向けられた。 「僕がここに居る理由は世蓮に寂しい思いをさせない為だって颯天が教えてくれたんだ。だから世蓮は僕に甘えてもいいんだよ?」 小首を傾げてシアが教えてくれた。 甘えて良いと言われても・・・ 「残念ですが、僕が甘えるのは颯天にだけです。甘えはしませんが・・・癒やしては貰いました。だから“ありがとうございます”。」 もう一度抱き締め直すと腕の中でシアが小さく「どういたしまして。」と呟いた。

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